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大学生ボランティア、NPO法人に転身 震災を機に

ボランティアからソーシャル・インターンへ――。昨年3月11日の東日本大震災を機に結成された大学生ボランティア団体が、恒常的な社会問題を解決するNPO法人(特定非営利活動法人)へ転身しようとしている。孤立や孤独死の防止、子供の遊び場の提供、産業復興など震災の被災地が抱える問題は、社会がもともと抱える問題と通じる。震災を機に新しい形の社会貢献が始まっている。
◆全国から派遣
東日本大震災の当日、東京・渋谷にいた学生4人が中心となり、結成された「Youth for(ユース・フォー)3.11」。震災を機に結成された大学生ボランティア団体としては最大だ。インターネットのホームページに登録し、メールマガジンを受け取る学生は約9千人。被災地に派遣した学生は、47都道府県の大学から延べ約1万1500人の上る。

活動は、被災地で活動する団体と提携し、ボランティア希望の学生を集めて派遣する。震災復興の寄付金や補助金で、派遣前の事前研修や交通費、宿泊施設などを1回当たり1万円以下(目安)で提供。「ボランティアに行きたいがお金がない」などのジレンマを抱える学生と、「人手が必要だが個別に募集する時間がない」現地の団体を支援する。

創設メンバーが卒業し、2代目代表となった島田悠司さん(23)(慶応大大学院理工学研究科2年)は「震災前までは、バドミントンのサークルで遊んでいた普通の学生。昨年7月にユースを通じて、岩手県陸前高田市と宮城県気仙沼市内にがれき撤去のボランティアに行き、多くの学生を派遣する運営側に興味を持った」と話す。

運営スタッフは、東京本部約30人、関西本部約10人。東京本部では毎週日曜日の午後、都内の雑居ビルの一角で活発な議論が交わされる。「事前研修をどうするか」「広報の方法は」など、手探りの中で、より学生が参加しやすい方法を模索する。

◆機動力を生かす
しかし、震災から1年半が経過し、現地のニーズも変化。送り出す人数も昨年の夏休みの週当たり90人から、今年は3分の1に減少した。
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島田さんは「この経験を経験で終わらせず、若い力を必要としているボランティア団体や福祉施設に学生を送り出す組織、ソーシャル・インターンの窓口になりたい」と話し、近く、東京都にNPO法人資格を申請する予定だ。
派遣先は、児童養護施設や、高齢化が進む農業や林業などの一次産業などを想定。メールマガジンやツイッター、ホームページを活用した学生の機動力を生かそうと新たに動き出した。

2012.10.24 産経新聞掲載
by sonicont1 | 2012-10-30 11:33 | ボランティア