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給食途上県 返上策探る 中学の実施率低い大阪・神奈川 希望募り選択制/生徒に味の不満

大阪府や神奈川県など、公立中学校での給食提供に後ろ向きだった自治体で給食を実施する動きが広がっている。「栄養バランスの良い食事を子供たちに取らせたい」。共働き家庭の保護者の要望に応えようと、学校側は食材選びや味付けにも気を配るが、献立に対する不満などから利用は伸び悩む。健康に配慮しつつ生徒の好みにどう合わせるか。教育現場の試行錯誤はしばらく続きそうだ。

4月11日、大阪市中央区にある市立南中学校の昼休み。2年生の教室では、持参した弁当箱を開ける生徒と、給食業者から届いたランチボックスを開く生徒が席を並べ、食事を始めた。クラスの生徒23人のうち8人が給食組だ。
昨年9月、学外の業者に委託する「デリバリー方式」で給食の提供を始めた。月ごとに希望者を募って支給する選択制を採り、1食当たりの食費は300円。紀井正澄校長は「生徒の意見を吸い上げ、給食を希望する生徒が増えるよう工夫したい」と話す。
同校の取り組みは大阪府、市の政策に沿ったものだ。府は2011年度、市は12年度から公立中学校で給食を導入すると決め、堺市内の学校を除く全校での100%実施を目指す。一方、神奈川県でも相模原市が10年度からデリバリー方式で選択制給食を始めたほか、逗子市も14年度からの開始を決定している。
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公立中学校での給食実施率で、大阪府と神奈川県は長年ワースト2を走り続けてきた。高度経済成長に伴う人口の急増期に校舎などの建設に追われ、調理施設の整備に手が回らなかったことなどが、給食導入が進まなかった背景にある。
こうしたなか、近年になって共働き家庭が増えたことなどから、給食の提供を求める保護者が増加。大阪市が導入前の10年に実施したアンケートでは「栄養バランスの配慮が行き届く」「弁当づくりの負担が減る」といった理由で8割以上が給食を希望した。
ただ、保護者の意識とは裏腹に給食を食べたがる生徒の数は伸び悩んでいる。導入から3年が経った相模原市の利用率は約5割にとどまり、開始直後の昨年10月に16.8%だった大阪市も、今年2月には9.7%に落ち込んだ。
苦戦の一因は、好みが多様化した生徒を満足させることの難しさにある。学校側は栄養バランスを考え、魚や野菜を多く使った献立を意識しているが、大阪市のアンケートに「おいしくない」と答えた生徒は48.6%。相模原市教育委員会は「空揚げなど肉を使う献立と、魚や野菜を使った献立では申込数に差が出る」という。塩分や脂肪分を控えた味付けや、食中毒を防ぐ為の低温保存に対しても、アンケートでは「薄味」「おかずが冷たい」などの声が相次いだ。
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一部の保護者から食物アレルギーへの対応を求める声も上がるが、「アレルギー源を取り除いた食事の提供までは難しい」(大阪市学校教育担)のが実情。同市は献立表に卵や牛乳などアレルギーの7大原料を表示することにとどめている。
こうした不満を解消しようと、大阪市は今年3月から、竜田揚げや味噌カツなど、中学生が好む料理を新メニューに組み込み、味噌汁やスープの提供も予定する。相模原市も給食検討委員会を立ち上げて、献立の充実を加速させる方針だ。
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30の都道府県で実施率9割超
学校給食法は、効率学校の設置者である市町村に給食実施に努めるよう定めている。文部科学省によると2010年5月に全国の公立中学校の実施率は82.4%。公立中学校では東北や九州などの30都道県で90%を超すが、関西は60~40%台の府県が多い。
大阪青山大学の山本信子准教授(栄養学)は「高カロリー食を好む中学生への給食提供は、バランスのとれた食事の重要性を認識させる食育の観点が欠かせない」と指摘する。

2013.04.19
by sonicont1 | 2013-05-23 17:58 | 健康&美容